差し入れってなに?『チコちゃんに叱られる!』

2019/11/1放送の『チコちゃんに叱られる!』
生駒里奈さん、奥田民生さんをゲストに迎えています。

チコちゃん「『差し入れ』ってなに?」

閉じ込められている人に持っていくもの

教えてくださるのは、流行語や専門用語などの俗語研究の第一人者 梅花女子大学 米川明彦教授です。

「差し入れ」と「お土産」の語源

「差し入れ」と「お土産」は言葉が生まれた経緯が全く違います。

「お土産」というのは、「お」に「土」に「産まれる」と書いて昔は「おとさん」と読んだのです。
「とさん」とは「その土地の産物」という意味の言葉です。

もともと中国から入ってきた漢語であり、日本では平安時代には使われていました。
時が経って室町時代ぐらいになると「その土地の産物を誰かに配る贈り物」という意味に変わりました。

もう一方、「見上げ」という言葉があります。
これは戦国時代の末期頃に現れますが、品物を見て人に差し上げる「見上げる」という解釈があるんですけども、そこから「みあげ」がが発音しやすいように「みやげ」になったといわれています。

「とさん(土産)」と「みあげ(見上げ)」は意味が似ています、というかほとんど同じになりました。
そうすると、「みやげ」が「土産」と書かれるようになりました。

すなわち当て字になったわけです。

「差し入れ」は監獄から生まれた

「差し入れ」という言葉はどのように誕生したのでしょうか?
「差し入れ」という言葉ですが、「差す」に「入れる」の2語から成り立ってます。

「差し入れ」は古くからある言葉で、隙間に物を入れるという意味です。
それが明治時代に、ある特定の隙間に差し入れるという意味に変化しました。
その特定の場所が監獄です。

明治時代の監獄のドアには、食事を入れるための小さな隙間がありました。
その小さな隙間から日用品や食料品を入れます。

囚われている身ですから、ある場所から動けないでしょう。
動けないからよそから入れて渡す「差し入れる」ということになりました。
1917年に発行された辞典にも「差し入れ」は「罪人に渡すもの」と書いてあります。

芸者をきっかけに「差し入れ」が一般的に広まった

もともと捕らえられていた人に対する言葉だった「差し入れ」でした。
しかし今は、刑務所に入っていない人にも使われています。

そのきっかけは芸者さんたちの世界でした。
明治時代の芸者さんがご座敷などにずっと居ることを監獄に見立て、そこでいただくご馳走などを「差し入れ」と呼んだのです。

その後、寄席芸人や役者など、今で言う業界人たちにも「差し入れ」が言う言葉が広がり、やがて仕事中のオフィスやドラマの撮影現場など身動きの取れない相手に物を渡すことを指して言うようになりました。

ですから「お土産」とは「その土地のものを人にお裾分けするもの」、一方「差し入れ」とは「ある場所から身動きの取れない人、またその場に留まっている人に渡すもの」です。

あとがき

芸者さんがご屋敷にずっと居ることを監獄に見立てて…ってどんだけ辛い環境だったの?!

…差し入れの語源が監獄からきているとは知りませんでした。
「隙間に入れる」で「差し入れ」が生まれたのですね。

何気なく使っている言葉ですが、語源を知ると言葉に重みが乗っかかったような気がします。

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