なぜ氷の上は滑りやすいの?『チコちゃんに叱られる!』

2019/12/27放送の『チコちゃんに叱られる!』
さだまさしさん、萬田久子さん、高橋みなみさんをゲストに迎えています。

チコちゃん「なぜ氷の上は滑りやすいの?」

440万年もの間 謎だったけど、去年やっとわかった

詳しく教えてくださるのは氷について研究しているドイツ・マインツにあるマックスプランク高分子研究所の永田勇樹さんです。
ドイツの研究所からテレビ電話でお答えいただきました。

氷が滑る謎は2018年に解明された

この氷が滑りやすいという問題は世界中の科学者の間で長年 議論の的だったのですが、2018年5月に私達のグループはこれをやっと解明することができました。

人類が2足歩行を始め、ニュートンやアインシュタインが科学にに革命を起こし、今や宇宙へと飛び出したおよそ440万年の歴史の中で、我々は訳もわからず、氷の上で滑り続けていたのです。
そして2018年5月、永田先生のいるグループが世界で初めて氷の上が滑りやすい理由を解明し、440万年続いたこの謎についに終止符を打ちました。

皆さんは普段 当たり前のように「氷の上は滑る」と感じているかもしれませんが、その足元で何が起きているのか考えたことはありますか?
氷の上が滑る原因はこれまで二つを仮説がありました。

仮説その1:圧力説

例えば水風船を握ると指の隙間からはみ出てくるように、スケート靴で氷を踏んだときにその圧力で氷の中から水が押し出され、氷の表面にできた水の膜で滑るを考えられていました。

しかし、この説だと普通の靴のように広い面積で踏んで滑ってしまうことが説明できないのです。
実際に試してみるとわかると思いますよ。

ということでこのテーマに取りかかったのは今年2月のことです。

冬になると凍る湖の上で実際に氷の上を滑る実験をしてみました。
しっかりと凍っている湖の表面に水分はありません。

早速、靴底の広い普通の靴で氷の上を歩くと、風に吹かれただけでツルツルと滑ってしまいます。
靴で氷を踏みつけた足元を見てみても水になっている様子はありません。

実は氷を水にするほどの圧力となるととても強い圧力が必要で、例えば重いゾウがハイヒールを履いて氷を踏んだとしても、なかなか水になるほどの圧力はできません。

仮説その2:摩擦熱説

例えば物をこすると摩擦で熱が生まれるように、氷の上を歩くときに氷が擦れるにつれて氷が溶けて表面にできた水の膜で滑るというものです。

こちらも実際に靴を氷に擦り付けてみますが、どんなに足や手を擦りつけても水はできません。
しかし、やはりスタッフは滑っています。

この説とただ立っているだけの人が風が吹かれて押されてその勢いだけで滑りやすくなってしまうことに説明できません。
そもそも氷が滑りやすい理由に氷が溶けて水になるということはあまり関係なかったのですね。

新説:分子コロコロ説

そしてついに判明した新説「分子コロコロ説」。

氷の上が滑る原因、それは氷の表面にある水の分子がコロコロと動いてしまうからです。
氷の表面が動いている動いていることがどういうことなのか詳しく説明します。

この世界にある全ての物体は拡大してみると「原子」や「分子」と呼ばれる小さな粒が集まってできています。
では氷はどのようにできているのでしょうか?

その断面も先生の研究所が作った分子レベルまでに拡大してみると水の分子がくっつき合って氷ができているのがわかります。

イラスト:氷の断面を分子レベルまでに拡大した図
引用元:ACS Publications “Molecular Insight into the Slipperiness of Ice”

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、水の分子は酸素原子「O」が1つと水素原子「H」が2つでできており、「H2O」と呼ばれています。
氷はこの水分子が綺麗に繋がり合ってできています。

氷の内部にある水分子を見てみると、水分子一つに対して4つの水分子が繋がっています。
その隣の水分子も繋がりが4つあります。
そのため、しっかり固定されているのです。

しかし、氷の表面では水分子の繋がりが2つや3つしかないため、表面の水分子が固定されずに動いてしまうのです。
イメージが難しいと思うけれども、簡単にいうと、床一面にビー玉が敷き詰められているような状況が氷の表面です。

つまり、氷の表面では分子がビー玉のようにコロコロと自由に動き回り、人や物を滑らせていたのです。

ということで、氷の上が滑りやすいのは氷の表面が動いているから でした。

水で滑る原理

雨でスリップしたり、水がこぼれて滑ったりと水で滑る方もいらっしゃると思います。
これは地面と足の間に水の層ができて足が浮いてしまうことで滑るハイドロプレーニング現象が起きているからです。

あとがき

氷の上が滑る理由はわたしも水と靴の間に水の層ができるから滑るのだと思っていました。
当然そうだと思って知ったかぶっていました。恥ずかしい…。

知ったかぶらずに疑問を持ち続けた人がいるからこうして長年の謎が解明されたのですね。
当たり前のことに着目して疑問を持って追求していく人たちを煙たがらずに敬意を持って接するべきだと反省しました。

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