なぜツバメは人の家に巣を作るの?『チコちゃんに叱られる!』

2020/5/8放送『チコちゃんに叱られる!』
田中美佐子さん、千葉雄大さんをゲストに迎えています。
チコちゃん「なぜツバメは人の家に巣を作るの?」
人間がガードマンになってくれるから
詳しく教えてくださるのは、ツバメを研究して20年 鳥類学者で東京都市大学の准教授 北村亘さんです。
日本はツバメにとって出産と子育てに適した場所だった
動物にとって人間は脅威の存在です。
しかし、その脅威を逆手にとって暮らしているのがツバメです。
ツバメは人間の近くに巣を作ると安全が確保されるのです。
そもそもツバメは春になるとフィリピンやインドネシアなど東南アジアから数千キロの海を渡って日本にやってきます。
しかし、東南アジアにも人が住む家はたくさんあります。
なぜわざわざ日本を選ぶのでしょうか?
ツバメにとって日本は出産と子育てに適した場所です。
実は春になると日本では東南アジア以上に小さな虫が大量発生します。
この虫をヒナにお腹いっぱいに食べさせるためにツバメは日本にやってくるのです。
この時期にツバメの巣に目をやると親ツバメがヒナに餌を与える姿が見受けられます。
人が近くにいると天敵に襲われない
なぜツバメはあえて民家の軒先に巣を作るのでしょうか?
あえてツバメが人の近くに巣を作るのは天敵のせいと考えています。
ツバメの天敵といわれているのがカラスと蛇です。
人間の近くに巣を作ることでツバメにとって天敵を避けることができるのです。
蛇やカラスは人間を恐れて民家にそうそう近づいてきません。
人けの多い場所に巣を作れば天敵から襲われずに済むというわけです。
ツバメな1度安心だと感じると翌年も同じ場所に戻ってきて巣を補修して子育てする習性があります。
そんな中で辿り着いた安住の地がが民家の軒先などです。
人間とツバメはWin-Winの関係
なぜそんな近くにいるのに人間が巣を壊したりツバメを獲って食べたりしないのでしょうか?
それはツバメと人間がWin-Winの関係だったからです。
ツバメは農作物を食べずに害虫だけを食べてくれる益鳥として古くから大事にされていました。
その歴史は古く、奈良時代の『万葉集』にはツバメは春の訪れを告げる鳥として書かれています。
さらに江戸時代の百科事典『和漢三才図絵』にはツバメが人のそばに巣を作ると解説されるなど昔から日本人の身近にいたことがわかります。
いつしか「ツバメが巣を作る家は幸せが訪れるから巣ができたら優しく守らなきゃ駄目よ」とツバメが縁起が良い鳥として知られるようになりました。
人けがいなくなるとツバメもいなくなる
海外ではツバメが洞窟に巣を作る例がありますが、不思議なことに日本では自然界に巣を作ったという報告はほとんど聞いたことがありません。
ただし、人がいなくなるとツバメも寄り付かなくなります。
例えば大阪の十三に「つばめ通り」と呼ばれる商店街がありますが、その昔は商店街の軒先にツバメの巣が並んでいました。
その名の通り多くのツバメが集まる商店街でした。
しかし、時代の流れでシャッター商店街となり、人がいなくなってツバメのいなくなってしまいました。
人がいない場所には巣を作らないのです。
なので、ツバメが集まる場所は人の賑わいがある証拠です。
ちなみに十三では、ミュージシャンを招いて祭りを行うなど新たな賑わいを作る取り組みも行われています。
頑張れ 十三!
今時のツバメは大胆!?
さらに今時のツバメは人間との距離を大胆に縮めています。
ツバメの相思相愛の関係はエスカレートしています。
大胆にも交番の御紋の上にヒナたちが鎮座するところがあります。
確かに1番安全な場所かもしれません。
街中のコンビニでもツバメが看板に巣を作ったため、1文字だけライトを消して子育てを見守ったそうです。
あるところでは巣がヘルメットになっています。
実はツバメの巣が落ちてしまい、代わりにヘルメットで応急処置したところヒナたちも気に入ってくれたようです。
人間の身近にいる鳥で、人を怖がらない鳥はいますが、こんなに人と一緒にいる鳥はツバメぐらいじゃないかと思っています。
日本中でツバメが大切にされていることがよくわかります。
人間が食べるツバメの巣はよく見るツバメの巣じゃなかった!?
せっかくなので気になっていたことを聞いてみました。
「人間はツバメの巣を食べますよね?」 by スタッフ
そもそも中華料理のツバメの巣と日本で見られるツバメの巣は別物です。
高級食材のツバメの巣を作っているのはツバメではなくてアナツバメという全く別の種です。
見た目と飛び方がツバメに似ているだけで鳥の種類としては全く違うものです。
- 日本で見られるツバメ:スズメ目ツバメ科
- アナツバメ:アマツバメ目アマツバメ科
決してツバメの巣を見つけても食べないようにしてください。
あとがき
ツバメが農作物を食べず害虫だけを食べる益鳥であるから人間はツバメをとても大事にしていたと。
全く知らなかったのでとても勉強になりました。
ただただ可愛いから見守っていたわけではなく、ちゃんと人間側にも利益があったわけですね。
人間が食べるツバメの巣が我々日本人がよく見るツバメの巣ではなかったということにとても驚きました。
実はずっとツバメの巣を見かけるたびに「あれがとても美味しいツバメの巣なんだ…」「なぜ誰も獲って食べようとしないのかな?」と思っていたものです。
獲って食べなくて正解でした。
またひとつ賢くなりました。

フォローお願いします