なぜネジにはプラスとマイナスがあるの?『チコちゃんに叱られる』

2020/11/3放送『チコちゃんに叱られる』
※2019/4/23に放送した番組を再構築したものです。
広瀬すずさん、吉沢亮さん、草刈正雄さんをゲストに迎えています。

チコちゃん「なぜネジにはプラスとマイナスがあるの?」

ゴミが詰まるから

詳しく教えてくださるのは、全国のねじメーカーの発展を支える日本ネジ工業協会 専務理事 大磯義和さん です。

世に出回っているネジの9割はプラスネジ

プラスネジとマイナスネジはネジを使う場所の汚れやすさで使い分けられてます。

現在の世に出回っているネジの9割はプラスネジです。
身の周りにあるもののほとんどが作業が楽で効率的なプラスネジが使われています。

なぜ全てのネジをプラスネジに統一しないかというと、プラスイメージは汚れが溝に詰まると取りにくいからです。
プラスネジの溝にゴミが詰まるとドライバーが差し込みにくくネジを取り外したりしにくくなるという弱点があります。
さらにプラスネジを無理に回そうとすればネジの溝が潰れてしまうこともあります。

一方でマイナスネジは溝が端まで切られてるのでゴミが詰まっても取り除くことができます。
例えば屋外など最初から汚れることが想定される場所でマイナスネジが使われることが多いです。
屋内にある電気メーターや消火栓、家の中でもお風呂場などの水周りではマイナスネジが使われていることが多いです。

さらにマイナスネジのメリットはドライバーを使わずに付け外しができることです。
例えば持ち運ぶことが多いカメラの三脚にはコインでも開け閉めができるマイナスネジが使われています。

そしてマイナスネジは微調整が必要な場所でも重宝されています。
例えば腕時計の内部やライターの火力などマイナスネジの角度を見て調整することができます。

マイナスネジの良さがあるため量は少なくてもこれからも使われ続けるでしょう。

ネジの歴史

日本ではかつてマイナスネジが主流でした。

「鉄砲伝来」と「ネジ伝来」

1543年に種子島に鉄砲が伝来しました。
その同時に日本にネジが入ってきました。

火縄銃の反動に耐えられるように「尾栓」と呼ばれるネジが使われていたのが始まりです。
つまり「鉄砲伝来」とは「ネジ伝来」でもあったのです。

しかし当時はマイナスやプラスではなくネジの頭に棒を差し込んで回すというものでした。

小栗上野介忠順がマイナスネジを日本に持ち帰った

江戸末期から明治初期にかけて小栗上野介忠順という偉人がアメリカに視察に行ったときにマイナスのネジを日本に持ち帰ったと伝えられています。

江戸幕府の勘定奉行などを務めた小栗上野介忠順が持ち帰ったネジは群馬県高崎市の東善寺に行けば今でも見ることができます。

マイナスのネジをワシントンの海軍造船所でもらってきて知り合いに配って「こういうものをどんどん作っている国がアメリカという国だった。日本もこういう国にしたい。」と主張をして横須賀造船所建設をしきりに提案して実現にこぎ着けたのです。

つまり、日本に最初に入ってきたのはマイナスネジでした。

HONDA創業者・本田宗一郎がプラスネジを持ち帰り主流にした

明治時代はほとんどがマイナスネジですが、ある人物がきっかけになり現在のようにプラスネジが主流となりました。
そのきっかけになった人物こそ HONDA創業者・本田宗一郎です。

1935年 アメリカのフィリップス・スクリュー社がプラスネジを開発しました。
その3年後には日本にも入ってきましたが、当時はプラスねじを加工する技術もなくマイナスネジに比べて生産量は圧倒的に少なかったといわれています。

しかし 1952年 本田宗一郎が工作機械の視察で渡米した際 プラスネジを持ち帰り自社のバイク製造に使用するために大量生産を開始しました。

ネジの溝の部分にぴったりと合わせなければならず手を添えないと締めにくいマイナスネジに対し、プラスネジは中心さえ合えばドライバーが横滑りせず回せました。
このプラスネジの特性は工場のオートメーション化に適していたため、生産効率を上げることに繋がったともいわれています。

本田宗一郎は著書『得手に帆あげて』の中でも「外国の工場を見に行って床に落ちていたクロスネジ(プラスネジ)をこっそり拾ってきた。クロスネジ(プラスネジ)を作って組み立て始めたらグーンと能率が良くなった。」とも語っています。
HONDAをを世界的なメーカーへと成長させたのはプラスネジといっても過言ではないかもしれません。

大磯義和さんのお言葉

ネジは私たちの日常の中で大きな役割をしている素晴らしい部品です。

ネジだけでは何もできないがネジがなければ何もできない。この世はネジでできている。
そう思っています。

あとがき

実はプラスネジが大の苦手です。
力加減がおかしいのか、毎回プラスネジの溝を潰してしまいます。

ゆえに、コインで開け締めができるマイナスネジの方が好きでした。

オートメーション化にはプラスネジの方が都合が良いと知り、なるほどと思いました。
オートメーション化・効率化を常に考えて行動する人に結果は伴うものですね。

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