なぜ学校で上履きを履くの?『チコちゃんに叱られる』

2020/12/11放送『チコちゃんに叱られる』
松嶋尚美さんとDAIGOさんをゲストに迎えています。

チコちゃん「なぜ学校で上履きを履くの?」

出入り口を1つにするため

詳しく教えてくださるのは、学校の文化について研究している中西宏次先生です。

寺子屋時代は裸足で学んでいた

学校で上履きを履くのは土足で上がると校内が汚れてしまうからと考えている人が多いですが、それだけではありません。
実は出入り口を1つにするためであるといえます。

そもそも日本では家に上がるとき玄関で靴を脱ぎますよね?
江戸時代に庶民が通った寺子屋でも生徒たちは履物を脱いで学んでいました。

寺子屋とは学校の前身と言われる教育施設であり、その多くはお寺や先生の自宅を使っていたため生徒たちは履物を脱いで教室に上がっていたのです。
このときはまだ上履きがありませんでした。

洋風建築の学校が建てられて上履きが生まれた

学校で上履きを履くようになったきっかけは明治時代の初めに政府が行った近代化政策にあります。
明治5年 政府は欧米諸国のような近代的な国家を目指す一環として子供たちの教育を義務付けました。

寺子屋は学びたい人だけが通う場でしたが、多くの子供たちが教育を受けることになりました。
そうなると寺子屋の建物だけでは足りないということで、そこで初めて学校が建てられます

その時に建てられたのが洋風建築の学校でした。
一般的に和風建築は玄関で履物を脱いで上がるのが前提ですが、洋風建築の建物は履物のまま中で過ごす作りになっているため基本的には玄関がないと考えられています。

しかし 明治8年に建てられた山梨県甲斐市の睦沢学校の平面図を見てみると履物のまま過ごす洋風建築なのに履物を脱ぐためのスペースの「土足室」が設けられています。
明治9年に建てられた長野県松本市の旧開智学校の平面図にも「傘履物置き場」という文字がありました。
確認したところ、どちらの学校も生徒たちは履物を脱いでいたそうです。

はっきりとした理由はわかっていませんが、日本古来の「履物を脱いで上がる」という習慣を簡単に変えることはできなかったと思います。
その結果 洋風建築なのに履物を脱ぐための場所(昇降口)がある日本独特の建物になりました。

洋風建築の校舎は床が板敷になっていて冬場はかなり冷たくなってしまうことなどから履物無しで過ごすには適していませんでした。
そこで履物を脱いでから校舎で過ごすための上履きに履き替えることにしました。

これこそが上履きが生まれたきっかけであると考えられます。

出入口を1つにして生徒の安全を確保

上履きに履き替えることで生徒たちは登下校時に必ず昇降口を通ることになります。
これによって校舎の出入口を1つにすることができました。

もし土足のまま校舎に入ることができるならば昇降口以外の扉からでも教室に行けます。
しかし、上履きに履き替えることにすれば下駄箱がある昇降口を必ず通ることになるわけです。
昇降口が1つになると学校側は子供たち1人1人をしっかりと見守ることができ、安全を確保できるようになったのです。

考えてみれば 今 私たちは会社やお店には土足のまま入っています。
それに違和感を感じる人はあまりいないと思います。

学校だって上履きを履かなくなっていてもおかしくないはずです。
それでも登校時に生徒の皆さんの様子をしっかりと見守って子供たちの様子を把握しやすいという利点がわかってきたので、今でも学校では上履きを履くことになっていると思います。

こうした点から学校で上履きに履き替える理由は出入口を1つにするためだと考えられます。

上履きを履かない学校もある

上履きは地域によって履かないところもあります。

兵庫県神戸市は外国人居留地があったことから土足文化になじみがありました。

さらに神戸の町は坂道が多く平地が少ないため、昇降口のスペースを確保するのが難しいなどの理由から上履きを履いていない学校が多いと考えられています。

沖縄県の那覇市や浦添市は20年ほど前から道路の舗装が進み靴が汚れにくくなったことや学用品購入にかかる家計負担を減らす目的もあり、上履きを履かなくなった学校もあります。

あとがき

洋風建築の学校が建てられ、冬は寒いので上履きが生まれて その結果 昇降口が1つになって生徒の登下校を見守りやすくなって安全を確保できるようになったということですね。
それに下駄箱を確認するだけで生徒が校内に残っているかどうかも把握しやすいだろうなと予想しています。

今はまだ上履き文化が残っていますが、ITテクノロジーがさらに発展して子供の安全確保をコンピュータに任せられるような時代がきたら先生の見守りも不要になり上履き文化がなくなるかもしれないと考えています。

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